Clearize on “Aim” of “Dilemma Discussion” -Intend to Unit of Instruction and Evaluation-

本研究は、「ジレンマ・ディスカッション」による道徳授業における、1時間の授業で達成可能な「ねらい」を設定しようとする試みである。「ジレンマ・ディスカッション」の目的は発達の促進であるが、1時間の成果として、起こり得る子どもの認知発達面の変化は非常にわずかでしかない。そのため、1時間の授業によって、子どもの発達がどの程度促進されたか見取ることは困難である。そこで、発達の促進を長期的な目的と位置づけ、それに対する短期的な目標である1時間授業の「ねらい」を,子どもを「認知的不均衡」に陥らせることとした。コールバーグ理論において、「認知的不均衡」は段階の移行のきっかけとなる心理的な状態であり、上位の段階への移行のためには通過しなければならないものである。つまり、授業の「ねらい」を「認知的不均衡」に陥らせるということにすることで、その達成が見とれるという仮説である。このような仮説に基づき、授業を通して「認知的不均衡」の表れを確認することで、１時間の「ねらい」としての意味を明らかにした